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◇女性の疾患◇

女性のさまざまな疾患や妊娠中・産後の異常ついて解説致します。

テーマは
「不妊症」
「不育症(習慣性流産)」
「子宮内膜症」
「高プロラクチン血症」
「多嚢胞卵巣症候群」
「更年期障害」
「PMS (月経前緊張症/月経前症候群)」
「つわり(悪阻)の解説と漢方療法」
「乳汁分泌不良と漢方療法」
「乳腺炎と漢方療法」

<画期的な漢方周期療法>
不妊症の漢方療法には『周期療法』という治療法があります。

これは、月経の周期に合わせて薬の配合を変え服用するもので、体調を整え、受精しやすく

妊娠が継続できる健康なからだをつくる方法です。

妊娠率の高い治療法です。

その方法は、(1)月経期
        (2)卵胞発育期、
        (3)排卵期
        (4)黄体期 の4期に分けて

基礎体温表を見ながら薬を服用します。
 
(1)月経期:月経血を体外にきれいに排出させるために活血薬と理気薬を服用します。

(2)卵胞発育期:卵胞の発育を促進するための滋陰養血薬を服用します。

(3)排卵期:排卵を促すための温陽活血薬を服用します。

(4)黄体期:黄体ホルモン機能を促進し、受精卵が着床し、妊娠を継続させるための
  温陽養陰薬を服用します。
 

この『周期療法』は、月経周期がある程度正常な婦人が対象ですが、生理が不順な人は

補腎薬、補気薬、補血薬、疏肝理気薬などである程度改善した後に周期療法に移行します。

不妊症の原因の中の●子宮内膜症、●抗精子抗体の存在などの免疫学的因子によるものは、

最近は増加傾向にあります。その場合は、それらに対する治療も平行します。

漢方単独医療から、人工授精や高度生殖補助医療の基礎療法(受精や着床可能な体にする)

まで、漢方の不妊に対する効果は大いに期待できるものです。

不妊に対する正しい知識と理解を持ち、期待の扉を開きましょう。

2008年も漢方療法で妊娠される方が増えました。その一部を紹介します。
34歳、不妊歴6年
子宮内膜症手術、左卵巣チョコレート嚢胞(機能していない)
IVF-ETを7回実施するも妊娠せず
2007年1月より18ヶ月間の漢方療法単独にて2008年1月に自然妊娠

36歳、不妊歴6年、産婦人科治療なし
PMS (月経前緊張症/月経前症候群)
生理周期は28〜30日、生理痛が強い
2007年9月より6ヶ月間の漢方療法単独にて2008年2月に自然妊娠

31歳、不妊歴4年
生理周期28〜30日間、冷え症がかなりひどい
2007年11月より5ヶ月間の漢方療法とクロッミド療法の併用にて2008年3月に妊娠

35歳、
2004年に5回目のIVF-ETにて妊娠→出産
その後、クロッミド療法、AIH、IVF-ETを数回実施するも妊娠しない
2007年10月4ヶ月間の漢方療法にて妊娠力をつけてから2008年3月にIVF-ET実施し妊娠

33歳、不妊歴5年
2007年にAIH9回実施するが一度も妊娠せず
2008年1月より3ヶ月間の漢方療法単独にて2008年4月に自然妊娠

41歳、不妊歴6年
2008年1月より4ヶ月間の漢方療法単独にて2008年4月に自然妊娠

38歳、不妊歴6年
2007年10月より8ヶ月間の漢方療法単独にて2008年5月に自然妊娠

49歳、
2008年2月より5ヶ月間の漢方療法にて妊娠力をつけてから2008年6月にAIHを実施し、1回で妊娠

29歳、不妊歴3年 
2008年5月より2ヶ月間の漢方療法単独にて2008年6月に自然妊娠

31歳、不妊歴3年 
2007年4月より3ヶ月間の漢方療法単独にて2008年6月に自然妊娠

39歳、不妊歴11年 流産3回経験
2007年6月より13ヶ月間の漢方療法単独にて2008年7月に自然妊娠

31歳 不妊歴4年
2008年1月より7ヶ月間の冷え性改善の漢方療法単独にて2008年7月に自然妊娠

34歳 不妊歴5年 6年前に第1子を自然妊娠にて出産、その5年間妊娠せず
2008年3月より4ヶ月間の漢方療法単独にて2008年8月に自然妊娠

33歳 不妊歴7年 
AIH9回、IVF-ETを5回実施するも妊娠しない。2007年6月より14ヶ月間の漢方療法しながら妊娠力をつけてから2008年8月に2年ぶりにIVF-ETを実施し妊娠。

2008年は妊娠された方が65名になりました。2009年はもっと多くの方に妊娠していただけるよう、真摯に技術の向上に努めています。

《 AIH:人工授精  IVF-ET:体外受精-胚移植 》

2009年も漢方療法で妊娠される方が順調に増えています。その一部を紹介します。
34歳、不妊歴3年
クリニックにてクロミッド療法と人工授精などを約1年間継続するも妊娠せず。
2008年10月より6ヶ月間の漢方療法を継続し、2009年2月に人工授精1回にて妊娠。現在養胎・安胎の漢方薬を服用にて順調。

38歳、不妊歴9年、産婦人科治療を3か所にて6年間ほど行うも妊娠せず。
2008年8月より7ヶ月間の漢方療法を継続し、IVF-ETにて2009年3月に妊娠。現在養胎・安胎の漢方薬を服用にて順調。

28歳、不妊歴3年
2008年11月より漢方療法単独にて2009年3月に自然妊娠。

35歳、不妊歴7年
約1年前よりクリニックにてクロミッド療法とHCG注射に人工授精と黄体ホルモン補充などを1年半ほど継続するも妊娠せず。
2009年2月より5ヶ月間の漢方療法だけにて2009年6月に自然妊娠。現在養胎・安胎の漢方薬を服用中

1年間ほど症例は割愛します。
今年は11月までに65人が妊娠されました。(残念ながら5人の方が流産されました)

《 AIH:人工授精  IVF-ET:体外受精-胚移植 》
⇒詳しくは「不妊症の漢方療法」のページへ
流産に関する用語、習慣流産の原因、習慣流産の検査と産婦人科の治療、習慣流産の漢方療法などについて内容です。習慣性流産は、最近では不育症と呼称することが一般的になっています。
流産に関する用語の解説
◇流産 abortion or miscarriage
妊娠反応が陽性とでて、 子宮内に胎児または胎嚢が確認された後、 胎児または胎嚢の成長が停止した状態、 言い換えれば胎児が死亡した状態. 妊娠22週未満を流産、 妊娠12週未満を初期流産という。

◇胎嚢 Gestational Sac (GS)
胎児を包む液体の入っている袋。 妊娠初期には最初に胎嚢が確認でき、 その後胎嚢の中に胎児が確認できるようになる。

◇稽留(けいりゅう)流産 missed abortion
子宮内で胎児は死亡しているが、 出血等の流産症状がまだ始まっていない状態。

◇進行流産 inevitable abortion
出血・腹痛等の症状が始まった状態。 子宮が収縮を開始し胎嚢が押し出されてきている。 放置すると大量の出血となる場合があるため病院での処置が必要である。

◇完全流産 complete abortion
子宮内の胎児・胎嚢が完全に排出された状態。

◇不全流産 incomplete abortion
子宮内の胎児・胎嚢の一部は排出されたが、 まだ一部は子宮内に残存している状態。

◇化学(的)流産 chemical abortion
尿妊娠反応が陽性とはなったが子宮内に胎児・胎嚢は確認できないまま出血が始まり、 妊娠が終了すること. 通常は流産の回数には数えないことが多い。

◇反復流産 recurrent abortion
流産を2回以上連続して経験すること。

◇習慣流産 habitual abortion
流産を3回以上連続して経験すること。

◇子宮外妊娠 ectopic pregnancy
子宮内以外の場所に妊娠すること。 卵管・卵巣などが多い。 お腹の中に大量に出血し放置すれば死亡する可能性が高い。 通常は流産には含まれない。

◇胞状奇胎 mole
以前はぶどう児といわれていた。 胎児の異常のため胎盤の一部または全部が腫瘍化した状態。 悪性腫瘍に準じた状態でありきちんとした治療が必要となる。 現状では流産の回数に入れることが多い。 (日本産科婦人科学会の方針による)

不育症(習慣流産)の検査
不育症(習慣流産)に関する検査の多くは血液検査です。 検査の項目としては次の通りです。

◇染色体異常
両親に外見上異常のない場合でも染色体異常の保因者である可能性があります。染色体異常というと深刻そうに思えますが、 人間の数%は何らかの染色体異常を持っています。そんなに珍しいことではありません。 この検査のみ男性・女性双方に対して行います。

◇内分泌異常
患者さんの家族歴・症状などから甲状腺の病気・糖尿病・乳汁分泌症などが疑われる場合には, 甲状腺ホルモン異常 糖尿病 高プロラクチン血症などがないか調べます.

◇自己免疫異常
抗核抗体、 リウマチ因子、 抗リン脂質抗体 (抗カルジオリピン抗体・抗フォスファチジルエタノールアミン抗体・抗フォスファチジルセリン抗体・ループスアンチコアグラント)等について調べます。. この分野は進歩が早く保険医療制度が追いついていない部分があるため、 一部患者さんの自費診療で検査を進めます。

◇凝固機能異常
上記の項目と一部重複します。 習慣流産の原因として血栓症・血栓傾向がクローズアップされています。 血栓症の傾向がないかどうかを調べる検査です。 主にアンチトロンビンIII、 プロテインS、 プロテインC、 その他の凝固因子を調べます。

◇血液型検査
血液型の不適合のため流産・死産が発生している場合があります。 血液型が特殊な血液型ではないかどうか・不規則抗体がないかについて調べます。

◇HLA検査
一時期, HLAの一致・不一致が習慣流産と関係するといわれていました。 現状ではこの考え方は否定されつつあります。 一部の患者さんに対してのみHLA検査を行なわれています。

〈これより下は血液検査ではありません〉

◇子宮の異常
子宮奇形・中隔子宮・子宮筋腫・頚管無力症などがないかどうかを、 超音波検査・子宮卵管造影検査・子宮鏡検査を組み合わせて調べていきます。

◇感染症
女性生殖器に感染する細菌であるクラミジアの検査を行います。 患者さんの既往歴・家族歴を検討して必要であれば結核菌の検査を行います。

◇流産検体の染色体検査
この項目は今までの検査とは意味合いが違います。 流産で子宮からでてきた胎児の細胞に染色体異常がないかどうか調べる検査です。.流産の原因が胎児の要因なのか、 胎児の要因ではないのかを調べます。 子宮から取り出してすぐの流産した胎児の細胞が必要です。 手術室で清潔に取り出した検体でないと検査できません。 冷凍・冷蔵・乾燥した検体では検査できません。 保険が適応とならないため自費での検査となります。

http://abortion.umin.jp/index.htmより抜粋
不育症(習慣流産)の産婦人科の治療
◇低用量アスピリン療法
アスピリンを一日あたり80〜100mg服用することで、 血液の凝固を抑制します。 これにより胎盤での血栓の形成をくいとめ、 胎盤と胎児を守ります。 凝固機能異常・自己免疫異常など広範囲に使用されています。 服用は妊娠初期から妊娠後期まで、 妊娠前から服用するという考えもあります。

◇プレドニゾロン
副腎皮質ステロイドホルモンを内服することで自己免疫異常をやわらげ、 流産を防ぎます。 自己免疫疾患に対する治療を参考とし40mg程度を投与するという考えが主流でしたが、 これだけの大量投与だと血栓症・肝機能異常等の副作用が出現するため、 現在では10mg程度の低量投与が行われ、 効果をあげています。 自己免疫異常・抗リン脂質抗体症候群の女性が対象となります。

◇ヘパリン
目的は低用量アスピリンと同じです. アスピリンよりも強力に血液の凝固を抑制し、 血栓の形成を阻害します。 しかし、 投与方法が皮下注射となるため常に皮下に注射針を刺し続けなければなりません。 凝固機能異常・自己免疫異常の患者さんに対し使用され、 効果は強力で血栓形成による流産・死産を防ぎます。 しかし、 患者さんへの負担は大きく、 出血などの副作用も無視できない程度発生するため、 低用量アスピリンなどが十分に効果を発揮しなかった症例にのみ適応としています。

◇血漿交換療法
抗リン脂質抗体などの胎児に悪い影響を及ぼす自己抗体を直接除去してしまおうという治療法です。 まだまだ実験的というべき治療法で確実に効果があると認められた治療法ではありません。

◇免疫グロブリン大量投与療法
抗リン脂質抗体などの胎児に影響を及ぼす自己抗体を、 他の抗体(免疫グロブリン)を大量に加えることで相対的に薄めて取り除いてしまおうという治療法です。 血漿交換療法と同様、 広く認められた治療法ではありません。

◇手術療法 (子宮鏡・腹腔鏡下手術)
子宮奇形・子宮筋腫・子宮内腔の癒着などの疾患が対象となり、 子宮内腔に影響を与え流産を引き起こしている病変を切除します。 また、 頚管無力症に対しては頚管縫縮術が妊娠後に行われます。

◇免疫療法 (夫リンパ球輸血療法)
スクリーニング検査で異常が発見されず、 他に治療方法がない習慣流産の患者さんに対して行われる治療法です。 3回以上流産を繰り返した患者さんが原則的に適応となります。
妊娠中は免疫能が抑制された状態=免疫寛容状態になります。 習慣流産の患者さんはこの機構がうまく働いていないのではないかという考えがあります。 流産を異物(夫の遺伝子の産物、 つまりタンパク質)に対する免疫的な拒絶反応ととらえるのです。 夫の遺伝子産物(タンパク質)に対する拒絶反応を抑えるため夫のリンパ球を数回にわたり皮下に注射します。 最初は夫のリンパ球=夫の遺伝子産物(タンパク質)に対する拒絶反応が生じますが次第に反応が弱くなり、 妊娠状態と同じ免疫寛容状態となります。
以上が免疫療法がなぜ効くのかということに関する仮説ですが、 これが正しいかどうかはまだわかりません。 また、 夫とはいえ他人の血液を体の中に入れるわけですからあまり気持ちのいいものではないかもしれません。 効果に関してですが、 効果があるという意見・認められないという意見、 それぞれ報告があるといった状態です。
なお、 免疫療法は免疫機構を動かして効果を上げると考えられているため、 自己免疫疾患・自己免疫異常・抗リン脂質抗体症候群など免疫学的な異常・自己免疫異常のある患者さんには禁忌とされています。
流産の原因 その1

テレビドラマにあるように、 妊娠初期に無理をしたから、 きつい仕事をしたから、 という理由で流産になってしまうことは現実の世界ではまずありません。 では, どうして流産はおこるのでしょうか?
流産の原因を大きく二つに分けると、 胎児の要因と母体の要因とに分かれます。 しかし、ほとんどの流産は胎児の要因でおこります。 では, 胎児のなにが悪かったのでしょうか?
胎児の要因のほとんどが染色体異常です。

◇流産と染色体異常
染色体異常をもつ受精卵の多くは、 発育を開始はするもののある程度以上は(その染色体異常の程度によってかわります)成長することができず、 やがて成長が止まります。 つまり、 死亡してしまいます。 死亡した胎児を子宮の中にとどめておくわけにはいかないため、 胎児が死亡すると出血が始まり、 子宮が収縮して胎児を子宮から押し出します。 これが流産です。
受精時に40%近くあった染色体異常の胎児は、 妊娠週数が進むにつれて流産して少なくなり、 分娩時には1%弱となります。 つまり、 受精時に40%近くあった染色体異常の児はほとんどが流産というかたちで妊娠を終了します。
実際、 流産した胎児及び胎盤の染色体検査を行うと、 60〜80%に染色体異常が認められます。流産はある意味では染色体および遺伝子をいまのかたちで子孫に残そうという自然の選択作用だともいえます。

◇年齢と流産
流産は主に染色体異常によりおこります 母体の年齢が上がるにつれ、 染色体異常の発生も上昇します。
流産の発生する確率も年齢によって異なります。 流産の原因のほとんどは受精卵つまり胎児の染色体異常ですので、年齢とともに流産する確率は上昇するといわれています。 これを避けることはできません。

◇習慣流産
それでは、 流産を繰り返した場合、 どうなるのでしょうか? 流産の主な原因は受精卵、つまり胎児にあると書きましたが、 それでは、 母体に原因のある場合はないのでしょうか?
よく言われるように流産が性癖になることはないのでしょうか?
流産が性癖になっているわけでは決してありませんが、 流産の回数を重ねるほど次の妊娠で流産する確率が高くなります。
胎児要因による流産は既往流産回数によって変化しません。年齢によっては変化します。 ただ、し、 母体要因がない女性は妊娠を繰り返すうちに出産に成功します。 何らかの母体要因がある女性だけが残っていくため、母体要因による流産が増加していくわけです。 流産したから流産しやすくなるわけではなく、 流産しやすい母体要因を持っている女性が流産を繰り返すことになるわけです。
特に、 3回以上流産を連続すると次の妊娠でも流産する確率は50%を越えてしまいます。 習慣流産とは流産を3回以上連続することをいいます。
流産の連続回数がまだ2回の時は、 次の妊娠も流産する確率はまだ30%程度です。 それでも0回、1回の流産を経験した人より高い確率なので、 2回以上流産を繰り返すことを反復流産といいます。
流産の原因 その2
               流産回数3回以上   流産回数2回
夫婦染色体異常          18           6
遺伝性疾患              1           0
内分泌異常              8           7
子宮異常               17           8
自己免疫異常            29          13
子宮内感染症             1           0
原因不明              173         120
未検査                 4           9
 計                 252         163
内分泌異常(甲状腺機能異常・高プロラクチン血症)
子宮異常(子宮奇形・子宮筋腫・Asherman頚管・無力症症候群)
自己免疫異常(SLE・ITP・リウマチ因子陽性・皮膚筋炎・抗核抗体陽抗・リン脂質抗体陽性性)
流産は70%が原因不明
上記のように習慣流産の原因は多岐にわたります。 現在解明が進んできているもの、 解明の糸口がつかめないものもあります。 強調しておかなければならないことは、 7割近くの習慣流産が原因不明であることです。
原因不明である女性の数が多いということは、
現代医学をもってしても胎児の初期の発育を解明することは難しいことを示唆しています。
流産は意外と少なくない
100人の女性が妊娠したとすると、 そのうち約12〜20人が流産します。年齢的には20歳だと12人程度、,30歳台の後半で20人を越えます。 言い換えると, 100回妊娠すると、 そのうち約12〜20回が流産します。   多いと思いますか?  少ないと思いますか?
5人から8人に1人と概算すると、 そんなに珍しいことではないということがわかると思います。
周りに流産したという友達・親戚はいませんか? あまりいないと思います。
考えてみましょう。 無事に赤ん坊が生まれると、 親戚・隣人・友人にお知らせして場合によってはお赤飯などを配ります。年賀状には生まれたての赤ん坊の写真をのせたりします。 人によっては, 一歳になりました、 二歳になりました、 七五三です、 小学校に入りました、、、と律儀に知らせてくれる人もいます。
一方、 あなたは流産したことを親戚・隣人・友人にお知らせしましたか? 夫婦間だけの話ですませることが多いのが実状です。 ましてや年賀状に書く人はいないと思います。
妊娠して無事に出産し元気な赤ん坊を手に入れたという話はよく聞きますが、 妊娠したけれども流産してしまったという話はめったに聞きません。 そのため流産してしまったことを特殊なことだと思い、 不安に駆られている女性がたくさんいらっしゃいます。 しかし、 それは当然のことなのです. 誰も流産したことは話したがらないからです。. お互いに秘密にしていますが、 流産している女性はまわりにたくさんいます。
不育症(習慣性流産)は漢方療法をお勧めします。
これまでお話ししたことをまとめます。

・流産の大部分は胎児の問題で発生し、 これを防ぐことはできない。

・2回以上流産を繰り返した場合母体の問題が存在する可能性も考えられる。

・流産は珍しいことではない。 ただし、 他人に流産をしたと話すことは珍しい。

・流産は珍しいことではなく、 たった一度流産したからといって心配する必要はない。

2回流産を繰り返して心配な女性、 3回流産を繰り返したすべての女性は、漢方療法をお勧めします。
不育症(習慣流産)の漢方療法
不育症(習慣性流産)を漢方では滑胎と言い、「数堕胎」とも言われています。
 流産に関しては2000年以上前の漢方の古典にも詳しく記載されている。《金匿要略》には「虚寒相博ち、これ名づけて革となす。婦人はすなわち半産漏下し,男子はすなわち亡血失精す」と記してあり、「半産」とは満期になる前に、胎気が充足せずに早産することで、「小産」に相当する。また《医宗金艦・婦人心法要訣》には「妊娠三、五、七か月、ゆえなくして胎自ずと堕し、下次に孕を受けるに至り、また復してかくのごとし。数々堕胎すれば、すなわちこれ滑胎という」と記してある。甚だしければ妊娠と流産をくりかえし、正常な出産ができなくなる。

【鑑別と治療】

1.腎気不固の滑胎
 先天不足または後天的な原因による腎気不足のため、胞宮を滋養できず、胎気不固となって発生する。数回の流産の既往があり、妊娠後に腰や膝がだるく無力・下腹部の下墜感・めまい・耳鳴・頻尿あるいは尿失禁・性器出血・舌質は淡・脈は滑大で両尺脈が東などを呈する。
治法は、補腎固胎で、千金保孕丸合寿胎飲を用いる。
千金保孕丸:杜仲・続断・山薬
寿 胎 飲:菟絲子・桑寄生・続断・阿膠

2.脾胃気虚の滑胎
 脾胃気虚の体質で気血を生じることができず、胞宮を滋養できず、胎気不固となって発生する。数回の流産あるいは早産の既往があり、妊娠後に顔が黄色くむくむ・下腹部が脹って下墜感がある・倦怠無力感・息切れ・物を言うのがおっくう・味がない・食欲不振・泥状〜水様便・舌質は淡紅・舌苔は薄白・脈は緩などを呈する。
治法は、補脾益気・固胎で、補中益気湯加味を用いる。
補中益気湯:黄耆・人参・白朮・甘草・当帰・陳皮・升麻・柴胡・大棗・生姜

3.陰虚火旺の滑胎
 内傷七情で肝鬱化火したり過労のため腎陰が消耗し、陰虚火旺となり胎気を動かすことにより発生する。数回の流産の既往があり、妊娠後に痩せる・両頬部の紅潮・五心煩熱・ロ乾・水分を欲する・腰がだるく痛む・性器出血・舌質は紅・舌苔は少ない・脈は滑数または尺脈が虚大などを呈する。
治法は、滋陰降火・固胎で、保飲煎を用いる。
保 陰 煎:生地黄・熟地黄・白芍・黄芩・山薬・続断・黄柏・甘草

4.気虚寒凝の滑胎
気血両虚の体質の婦人が風寒を感受し、寒邪が胞宮に停滞したために発生する。数回の流産の既往があり,妊娠後に下腹部が冷えて痛む・四肢の冷え・寒がる・温暖を好む・腰や膝がだるく無力・泥状小水様便・尿量が多い・舌質は淡・舌苔は薄白で滑潤・脈は沈遅で無力などを呈する。
治法は、補気温経・固胎で、聖癒湯合寿胎丸を用いる。
順気飲子:紫蘇葉・木香・人参・茯苓・大腹皮・糯米・苧根・草豆・甘草

⇒詳しくは「妊娠中・産後の異常」のページへ

子宮内膜症とは、子宮の内膜にしかないはずの子宮内膜あるいはその類似組織が、なぜか身

体のいろいろな場所に勝手に発生し(おもに骨盤に守られた下腹部内)、増殖・発達し、活動す

る、良性疾患です。可能性としては全身どこにでも異常発生し、生着し、増殖し、活動する。

子宮内膜症は、初経の後、早い人なら10代後半から発生し始め、人それぞれの進展や程度で

進んでいく疾患です。閉経で消えたり萎縮したりする。

現代の医学では完治が難しい疾患である。病状には急性期と安定期があり、40代になると

以前より楽になる人が多くなる。

子宮内膜症は、生活環境やライフスタイルの変化により急激に増加しており、日本では約100万

人ほどの少女や女性のQOL(生命・生活・人生の質)を長く脅かしている、現代の代表的な女性

の疾患です。子宮内膜症が女性のQOLを脅かす原因は、激しい月経痛などの痛みと子宮内膜

症の存在が不妊症を引き起こすということです。

日本の子宮内膜症に対する医療状況は、薬物療法・腹腔鏡手術・開腹手術ともに再発率が高

く、現代医療にできることはさほど多くないというのが現実です。
                     内膜症が好発する場所

                (1)卵巣の内側、表面
                (2)子宮と直腸の間のダグラス窩と呼ばれる部分
                (3)子宮の筋肉の間(これは子宮腺筋症とよばれます)
                (4)その他、卵管や子宮・直腸表面の腹膜など。
漢方治療と子宮内膜症のためのセルフケアーで、心とからだを癒して、病気を改善しましょう。
⇒詳しくは「子宮内膜症と漢方療法」のページへ

プロラクチンというのは脳下垂体から放出される刺激ホルモンで、乳腺を刺激して乳汁を分泌させるように働きますが、このホルモンの分泌が異常に亢進して乳汁分泌、無排卵月経などを起こすようになったものを高プロラクチン血症といいます。

プロラクチンの血中濃度の正常値はおよそ15ng/ml以下ですが、高プロラクチン血症ではこれが異常高値を示すようになります。日中の数値は正常ですが夜間にプロラクチンが上昇する「潜在性高プロラクチン血症」もあります。

プロラクチンが多量に分泌されると卵巣での排卵が抑えられてしまい、その結果生理が止まってしまう場合が往々にしてあります。プロラクチンの分泌がさらに増量すると、生理が止まるだけでなく、子供を出産したことがないのにお乳が出てくるということになります。

このような現象が起こるのは、ストレスの多い生活環境、流産後や人工妊娠中絶後、脳下垂体に腫瘍がある場合、胃潰瘍の治療による場合や精神科で治療を受けている場合(ドグマチールという薬の場合が多い)などがありますが、原因が不明である場合もかなり多くのケースで見られます。

高プロラクチン血症に対しては脳腫瘍を除くとパーロデル、パロラクチン、テルロンなどの投薬を行うのが普通で、不妊症の方に対してはプロラクチンの値が正常であってもこれらの投薬を行うことにより妊娠する率が高くなることも知られています。

投薬をどれくらい続けなければいけないかについては、個人差がありますので何とも言えませんが、通常一日二回の内服で一週間以上投薬すれば正常値になることが多いと思います。しかし、投薬を中止すると再上昇することもまれではないため、服用を中止したあとでも何度か測定してみた方が良いでしょう。

なお、高プロラクチン血症に伴って無排卵が起こり、その結果生理が不順になったり無排卵の状態になった場合、これを治療することで排卵が復活し妊娠に至る場合があります。また、不妊治療の一つの方法として高プロラクチン血症治療薬を使用するのも同様のことを期待してものもので、これはプロラクチン値が正常範囲にあっても効果が期待できるものでもあります。

ところで、こうして妊娠した場合、はたして妊娠が判明した時点で薬の服用を止めてしまっても良いのでしょうか?
この答えは、下垂体腫瘍の方を除けば「YES」です。
本来妊娠すると同時にプロラクチンの分泌が盛んになるものですから、何もそれをさえぎるようなことをする必要はないわけです。

なお、出産の経験がある人では、プロラクチン値が正常範囲にあっても乳汁が出る場合がありますが、この場合は生理が順調にあるか、もしくは基礎体温上で二相性を示しているものであればまず心配することはありません。
このまま様子を見ていて良い場合がほとんどだと考えて良いでしょう。
ただし、万が一乳汁に血が混じっていたり、母乳とは違う分泌物だと感じた場合には、必ず病院を受診するようにして下さい。

《 潜在性高プロラクチン血症 》
潜在性高プロラクチン血症とは、日中にはプロラクチン値が正常なのに、夜間になると上昇してしまう疾患です。排卵障害や黄体機能不全を起こす原因となります。
検査はTRH負荷試験を行います。
TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン/500ug)を投与(静注)して、脳下垂体からのプロラクチン(PRL)を測定します。
潜在性高プロラクチン血症では、TRH負荷試験前には15ng/ml以下を示し、TRH投与後には最大反応値70ng/ml以上の過剰反応を示します。

◇高プロラクチン血症の漢方療法
高プロラクチン血症の治療は一般にはパーロデル、パロラクチン、テルロンなどの内服治療にてコントロールできます。
しかし、内服薬の副作用のために服用継続が困難なケースもあります。
そんな場合には漢方療法を試されると良いでしょう。
新薬ほどの即効性はありませんが正常値になる方も多く経験します。
疎肝理気(そかんりき)剤と炒麦芽を使います。
疎肝理気剤には柴胡疎肝散・四逆散・逍遥散・加味逍遥散などがあります。
炒麦芽とは麦芽(大麦の発芽した種子を乾燥させたもの)を弱火で軽く炒ったものです。1日に30〜50gを煎じて、お茶代わりに飲みます。炒麦芽のエキス剤もあります。
症状と程度により疎肝理気剤の中から適切な処方の選定は必要になります。

卵巣にはたくさんの卵細胞があり、平均して月にひとつずつ成熟し、排卵します。卵細胞は卵胞という袋に包まれていて、発育するにつれてこの袋が大きくなっていき、20mmくらいの大きさになると破裂して、卵胞の中の液体とともに卵子が排卵されます。

多嚢胞性卵巣症候群とは卵胞が卵巣の中にたくさんでき、ある程度の大きさにはなるのですが、排卵がおこりにくくなる病気です。英語の病名の頭文字をとって、PCOSまたはPCOと呼ばれます。

《最も特徴的な症状》
1)排卵がおこりにくいことによる月経不順や無月経
2)卵胞の中では男性ホルモン(テストステロン)が作られるため、血液中の男性ホルモンが増加。(月経不順の原因、毛深くなることもある)
3)肥満
4)黄体ホルモン分泌不全による月経過多や出血がとまらないなどです

《原因と影響》
脳下垂体からはLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)が出て卵巣に働き、卵胞の発育を促しますが、PCOSでは、このうちLHの分泌が増えてFSHとのバランスの乱れがおこり、卵胞がうまく発育できないようです。

排卵がおこらないと、排卵をさせようとさらにLHの分泌が増えるため、乱れがますますひどくなるという悪循環に陥ります。

近年、PCOSはインシュリンと関連しているものと考えられています。インシュリンとはすい臓から分泌されるホルモンで、グルコースから体にエネルギーが得られるようにするものです。多嚢胞性卵巣により、このメカニズムに影響する細胞ができ、インシュリンの量が増加するためにより、さらに男性ホルモンも増加するのではないかと言われています。(これにより月経不順、毛深くなります。)

ある研究では多嚢胞性卵巣の30%の女性にこの症状がみられ、75%が肥満であるとされています。

しかしまだわからないメカニズムもあり、現在研究が進められている状況です。
【多嚢胞性卵巣症候群の診断基準】
《1993年、日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会》

1) 臨床症状
○1. 月経異常(無月経、稀発月経、無排卵周期症など)
  2. 男性化(多毛、にきび、低音声、陰核肥大)
  3. 肥満
  4. 不妊
2) 内分泌検査の所見
○1. LHの基礎分泌高値、FSHは正常範囲
  2. LH-RH負荷試験に対し、LHは過剰反応、FSHはほぼ正常反応
  3. エストロン(E1)/エストラジオール(E2)比の高値
  4. 血中テストステロン又は血中アンドロステンジオンの高値
3) 卵巣の所見
○1. 超音波断層検査で多数の卵胞の嚢胞状変化が認められる
  2. 内診又は超音波断層検査で卵巣の腫大が認められる
  3. 開腹又は腹腔鏡で卵巣の白膜肥厚や表面隆起が認められる
  4. 組織検査で内莢膜細胞層の肥厚・増殖、および間質細胞の増生が認められる
(注)以上の各項目のうち◯印をつけた項目を必須項目として、それらすべてを満たす場合を多嚢胞性卵巣症候群とする。その他の項目は参考項目として、必須項目のほかに参考項目をすべて満たす場合は典型例とする。

内分泌検査
1.LH > 10mlU/ml
2.LH / FSH > 1
3.E1 / E2 > 1
4.高アンドロゲン血症(下記のいずれか)
  a. テストステロン > 60ng/dl
  b. 遊離テストステロン > 3.0pg/ml
  c. アンドロステンジオン > 2.4ng/ml
  d. DHEA-S > 3000ng/ml
5.Sex hormon binding globulin(SHBG) < 40



【多嚢胞性卵巣症候群の治療】
多嚢胞性卵巣の7割の女性は排卵に問題をおこすため、不妊症になる可能性が高くなります

根本的な治療法はまだわかっていません。 妊娠を希望される場合は排卵誘発を行います。排卵誘発剤クロミフェンを1サイクル服用し、8割の女性は排卵をおこします。またhMG-hCG療法という排卵をおこすための注射療法を行ったりします。PCOSの場合は、排卵誘発を行ったときに、卵巣過剰刺激症候群とよばれる副作用をおこしやすい傾向があるので注意が必要です。

腹腔鏡下手術で卵巣の表面に小さな穴をたくさんあけ、排卵を促すと方法も行われることがあります。 副腎皮質ホルモンを併用することもあります。
さしあたり妊娠の希望がない場合は、月経を周期的におこすような治療を行います。これには、カウフマン療法とよばれるホルモン療法や、低用量ピルなどのホルモン剤を使います。

最近の研究で塩酸メトホルミン(メルビン・グリコラン)というこれまで糖尿病の患者に使われてきた薬が、PCOSなどの排卵に問題がある女性に効果があるのがわかり、使用されるようになりました。通常500mgを日に3度服用、4週間してからホルモン値、腎機能、肝機能などの血液検査をし、排卵状況をさぐります。各自の状況により、さらにエコー、クロミッドとの併用など服用や検査の仕方がさまざまです。

塩酸メトホルミンは、インスリン抵抗性が高血糖の原因と考えられるインスリン非依存型糖尿病の治療薬です。PCOSの病因は、卵巣内アンドロゲン濃度の上昇であり、機能性卵巣アンドロゲン過剰分泌と理解されています。インスリンは直接卵巣に作用して、卵巣内のアンドロゲン産生を促進する働きがあります。PCOSの患者がメトホルミンを内服すると、血中のインスリンが減少し、その結果、卵巣内のアンドロゲンが減少すると報告されています。

多嚢胞性卵巣症候群(PCO)は増えていると言われています。それは食生活の乱れやストレスの増大といったものが内分泌に影響を与えているためと思われます。

よってPCOだと言われた患者さんはドクターの指示に従って治療するのはもちろんの事ですが、自分の身体と環境を今一度、見直すという作業を強くお勧め致します。甘いものを多く摂っていないか、ストレスをきちんと解消しているか、睡眠はきちんと取っているかという基本的な部分を再確認してみてはいかがでしょうか。


◇多嚢胞性卵巣の漢方療法
多嚢胞性卵巣は、脳の視床下部のGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の異常によるLH値の上昇、小卵胞の閉鎖による小卵胞の多数存在、卵巣上皮細胞で芳香還化されにくいために生じる高アンドロゲン血症など、さまざまな悪循環が発生しています。
すなわち、体質、生活習慣、視床下部、下垂体、卵巣、肝臓などほぼ全身で悪循環が起こっているのであり、多嚢胞性卵巣は生活習慣病の一つともいえます。治療はこの悪循環を絶つことにあります。
生活習慣とは、運動不足、ストレスをためること、糖質類の摂り過ぎ、冷え性などです。現代人の冷え症の多くは運動不足です。
クリニックの排卵誘発治療をいきなりするより、漢方療法や生活習慣の改善でこの悪循環を絶ってから排卵誘発するのとではその効果は大きく違ってきます。

漢方療法による基本的な弁証分型。適切な処方を選ぶ必要があります。
1.痰湿血瘀
2.痰湿血瘀・肝欝気滞
3.痰湿血瘀・脾虚
4.痰湿血瘀・腎精不足
5.痰湿血瘀・腎陽虚

《弁証分型に対応する方剤》
痰湿には導痰湯や温胆湯
血瘀には桂枝茯苓丸や桃紅四物湯
肝欝気滞には逍遥散や芍薬甘草湯
脾虚には六君子湯や補中益気湯
腎精不足には左帰丸や右帰丸
腎陽虚には至宝三鞭丸や海馬補腎丸や鹿茸大補湯
などがあります。

免疫系や内分泌の失調に対して、免疫関連製品も経験上効果が期待できるケースもあります。
更年期は、その後の「第二の人生」をさらに実り豊かにするための大切な準備期間です
更年期になると女性は、何らかの不調に悩まされるようになります。いわゆる「更年期障害」です

が、それ自体はけっして異常なことではなく、程度の差こそあれ、女性ならば誰にでも起こる、自然

なからだの変化です。

大事なのは、この時期を上手に過ごせるかどうかが、そのあとの第二の人生のあり方を大きく左右

するということです。その意味で、更年期というのは、第二の人生を健康でイキイキとしたものにす

るための準備の時期でもあるのです。


「女性の更年期障害」のページの内容
◇女性のからだとホルモン

◇具体的な症状

◇ホルモン補充療法について

◇女性にやさしい漢方療法

◇女性更年期の健康チェックリスト
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PMS (月経前緊張症/月経前症候群)
「PMS」とは、Premenstrual Syndromeの略で、月経前症候群のこと。生理の10日〜3日前に、心とからだにさまざまな不快な症状が現れ、約8割の女性が何らかの不調を感じているといわれています。
症状の程度には個人差がありますが、腹痛がひどく日常生活に支障をきたすこともあれば、イライラして人間関係につまずく場合もみられます。
症状も、1つのみの人もいれば、複数現れる人もいてさまざまです。
女性ホルモンとその働き
女性ホルモンは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があります。その働きを知ることで、女性の「こころと体」の変化を理解することができますから、簡単にまとめてみました。

◇卵胞ホルモンの働き
卵胞を育て、子宮の内膜を増殖させる働きをします。
からだ全体にも作用し、コレステロールを抑え、お肌の新陳代謝を促します。
この時期の女性は、心身ともに活発になり、精神的に落ち着いています。
母性本能が強くなる時期でもあります。

◇黄体ホルモンの働き
妊娠をサポートするホルモンともいわれ、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に保ちます。
排卵後、卵巣に残った卵胞は、黄体と呼ばれる組織に変化し、そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。
プロゲステロンには、からだに水分を保持し、食欲を増進させる働きがあります。
生理前に、むくんだり、乳房がはる、過食気味になるのは、このためです。
この時期の女性は、身体的不調を感じたり、精神的にも落ち着きがなくなりやすくなります。
PMSはなぜ起こるのでしょう?
PMSが起こる原因は、まだよくは分かっていませんが、女性特有のホルモンのアンバランスが一因であることははっきりしています。

では、なぜホルモンのアンバランスが生じるのでしょう。
女性の1カ月は、卵胞期・排卵期・黄体期・月経期の4つの期間から成り立っています。
排卵後の卵胞からは、黄体ホルモンの分泌が活発になり、体温を上げます。この期間を黄体期といいます。黄体ホルモンは子宮内膜をさらに厚く、柔らかくして、卵子がくっつきやすくするなど、妊娠を継続・サポートする働きをします。
卵子が受精せず妊娠しなかったときは、黄体ホルモンの分泌が急激に低下し子宮内膜ははがれ、出血とともに排出されます。これが、生理(月経)です。
このように黄体期に入って数日後から月経が始まるまではホルモン分泌量が急激に変化します。また黄体ホルモンは、水分を貯留させてむくみや便秘を起こしたり、イライラやうつをもたらしたりします。PMSの症状が、生理の10日〜3日前の黄体期に現れやすいのもこのためです。

PMSは人間関係のストレスや生活環境の変化などによっても影響されることがわかっています。さらに、食生活の乱れ、運動不足、喫煙などの要因もあるといわれています。
PMSは、排卵があって月経周期の安定した女性に出やすいことから、かつては妊娠・出産・育児と女性の一生で最も充実した30歳代に多く見られていました。
しかし、現在は女性の社会進出とともに、受けるストレスも増加し、20歳代の女性にも多く見られます。
PMSのケア
◇休養
PMSのセルフケアは、何といってもストレスをためないこと。無理をして頑張りすぎず、体調が不安定なときは休養をとって、心もからだも休めましょう。無理をしたり頑張過ぎるとさらにPMSが強くなってしまいます。

◇食生活
1日3回の規則正しい食生活と、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。不規則な食生活は、さまざまな不調の原因にもつながります。この時期は、塩分やアルコールを控えましょう。

◇ビタミン・ミネラルの補給
カルシウムやビタミンB群・ビタミンEが効果的です。

◇適度な運動
ウォーキングやストレッチなど軽い運動でからだを動かして、基礎体力づくりをしましょう。


PMSの漢方薬
PMSに対しても漢方薬は良い効果を発揮してくれます。さまざまな心身の体調を的確に捉えて適切な漢方処方を選定します。
解説は専門的になりますから割愛させていただきます。
妊娠中と産後の異常のページに解説してあります。
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